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マールアラーゴ合意(プラザ合意2.0)とは?トランプ大統領による経済と為替市場への影響を徹底解説

近年、国際金融市場で注目を集めている「マールアラーゴ合意」というキーワードをご存知でしょうか?
この用語は経済ニュースや為替市場でしばしば登場し、特に投資家や金融関係者の間で議論の的となっています。
資産運用に関心のある方や、経済情勢の変化に敏感な方にとって、この「マールアラーゴ合意」の概要と影響を理解することは重要です。
本記事では、マールアラーゴ合意の基本的な内容から、それが経済や為替市場に与える可能性のある影響まで、分かりやすく解説していきます。

マールアラーゴ合意(プラザ合意2.0)とは? その概要と背景

マールアラーゴ合意(プラザ合意2.0)とは? その概要と背景
マールアラーゴ合意(プラザ合意2.0)の内容には、金融的に専門性の高い内容も含まれます。
そのため、いきなり全容を理解するのは簡単ではありません。
まずは、マールアラーゴ合意の概要や背景について順番に解説を行いますので、基本的な情報を押さえておきましょう。

マールアラーゴ合意の定義と名前の由来

マールアラーゴ合意の定義と名前の由来
マールアラーゴ合意とは、トランプ米大統領が推進するとされる多国間通貨協定の構想を指します。
この名称は、フロリダ州パームビーチにあるトランプ大統領の私邸「マールアラーゴ」にちなんで命名されたものです。
実際にこの合意が正式に存在するわけではなく、市場関係者の間で「マールアラーゴ合意」という呼称が定着しています。
ビアンコ・リサーチの創業者ジム・ビアンコ氏は「マールアラーゴ合意は実際に存在するわけではなく、コンセプト(構想)であり、金融システムの一部を根本的につくり変える計画だ」と主張しています。

マールアラーゴ合意の構想の発端

マールアラーゴ合意の構想の発端
この構想の理論的背景となっているのは、トランプ大統領が大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に指名したスティーブン・ミラン氏が2024年11月に公表した論文です。
ミラン氏はこの論文で「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けたロードマップを提示しました。
トランプ大統領は製造業と輸出の復活を含む米国の黄金時代を実現することを約束しており、米国の貿易赤字の規模についても長年懸念を示しています。
2024年には1兆2000億ドル(約179兆円)という過去最大の貿易赤字が記録されました。

マールアラーゴ合意の「プラザ合意」との比較

マールアラーゴ合意の「プラザ合意」との比較
マールアラーゴ合意は、しばしば「第2プラザ合意」とも呼ばれます。
これは1985年に先進5カ国(日米英独仏、当時のG5)が「プラザホテル」で合意した「プラザ合意」になぞらえたものです。
プラザ合意は、過度なドル高の是正のために米国の呼びかけで開催され、「基軸通貨であるドルに対して、参加各国の通貨を一律10〜12%幅で切り上げ、
そのための方法として参加各国は外国為替市場で協調介入をおこなう」というものでした。
しかし、マールアラーゴ合意はプラザ合意とは異なる点もあります。
一つ目の相違点は、米政府の保護主義政策に対するスタンスです。
1985年のプラザ合意は、ドル高を受けて強まっていた米国内の保護主義圧力に対抗することが主要な動機でした。
一方、現在のトランプ政権では、自国が主導して保護主義政策を推進しているという点が大きく異なります。

マールアラーゴ合意の主な内容と目的

マールアラーゴ合意の主な内容と目的
マールアラーゴ合意の概要や背景について解説を行ってきました。
それでは、マールアラーゴ合意にはそもそもどのような内容や目的が含まれるのでしょうか。
合意による影響を正しく把握するためにも、マールアラーゴ合意の内容や目的について詳しく解説していきます。

マールアラーゴ合意の主な内容と目的① ドル高是正を目指す目的

マールアラーゴ合意の主な内容と目的① ドル高是正を目指す目的
マールアラーゴ合意の主な目的は、現在の「持続的なドル高」を是正することです。
トランプ大統領はドルを意図的に弱くし、米国の輸出企業が中国や日本などのライバルと競争しやすくすることを意図していると言われています。

マールアラーゴ合意の主な内容と目的② 想定される具体的な施策

マールアラーゴ合意の主な内容と目的② 想定される具体的な施策
従来の手法では、米国の貿易相手国が自国内で生産する製品の内需拡大を誓い、製造業の対米輸出依存の軽減を図ることが想定されています。
また、外国為替市場に介入して通貨を望ましい方向に誘導するという取り決めや、金利調整に関する規定を設けることも可能性として挙げられています。
さらに、より大胆な案として、最近の臆測の一つに、米財務省が100年後が満期のゼロクーポン債を発行するというアイデアもあります。
このような構想は「合意」ではなく「強要」とも呼ぶべきものであり、相互関税や欧州の安全保障に関するトランプ大統領の語り口はまさにこの考え方をなぞっているように見えます。

マールアラーゴ合意の主な内容と目的 ③実現可能性についての見方

マールアラーゴ合意の主な内容と目的 ③実現可能性についての見方
トランプ政権が国際金融秩序を一変させるリスクはゼロではありませんが、バイデン前政権がインフレ抑制で失敗しただけに、ドル独歩安につながる政策を突き進むとは考えづらいという見方もあります。
過去の事例として、1985年9月の「プラザ合意」によりドル高は是正されましたが、その代償は大きく、ドルインデックスは「プラザ合意」を経て1986年末までに25%超も急落しました。
そのためG5は1987年2月の「ルーブル合意」と同年12月の「クリスマス合意」で2回に及ぶドル買いの協調介入を余儀なくされました。
マールアラーゴ合意が実現したとしても、多国間協調ではなく、2国間合意の寄せ集めのような形態をとる可能性が高いとも考えられています。

マールアラーゴ合意によるドル円為替レートへの影響

マールアラーゴ合意によるドル円為替レートへの影響
マールアラーゴ合意は、為替や金利への影響が大きい合意内容となっています。
そのため、ドル円の為替レートにとっても重要な影響を与えます。
ここからは、マールアラーゴ合意によってドル円の為替レートが具体的にどのような影響を受けるのかについて説明を行っていきます。

マールアラーゴ合意によるドル円相場への影響予測

マールアラーゴ合意によるドル円相場への影響予測
マールアラーゴ合意が実現した場合、ドル円相場にどのような影響があるのでしょうか。
現時点でのメインシナリオとしては、年末にかけて140円台を中心とするボックス圏での推移が想定されています。
当面はリスクオフ地合いの中でドル円の低迷が予想されますが、市場では既に米経済悪化に伴うFRBの積極的な利下げが織り込まれており、投機筋の円買いも積み上がっています。
一部の見方では、トランプ大統領が厳しい恒久的関税を課せば、ドルは短期的に上昇する可能性があるとされています。
この場合、米国の外国製品に対する需要減少が想定され、ドルは約8%上昇する可能性があるとされています。

マールアラーゴ合意と関税政策との関連性

マールアラーゴ合意と関税政策との関連性
トランプ大統領の関税政策もマールアラーゴ合意と密接に関連しており、為替相場に影響を与える要因となっています。
トランプ大統領は「日本の円であれ中国の人民元であれ、彼らが通貨を下げると我々に非常に不公平な不利益をもたらす」と述べ、「関税率をやや引き上げなければならなくなるだろう」と語っています。
元日本銀行の調査統計局長で一橋大学国際公共政策大学院の関根敏隆教授は、トランプ大統領の関税政策により起こる可能性が高いシナリオはドル高であり、円相場の下落はかなり大きくなる可能性があるとの見方を示しています。

マールアラーゴ合意による日本経済への波及効果

マールアラーゴ合意による日本経済への波及効果
トランプ大統領は前職時より主に中国の為替操作や補助金による国内企業の優遇を批判してきました。
関税が引き上げられれば、米国内ではインフレ圧力が高まり、米FRBが再び利上げを考えざるを得なくなる可能性があります。
米国の利上げは日米金利差の拡大につながるため、円安・ドル高の要因になるともいわれています。
しかし別の見方として、金融引き締めを取るか緩和を取るかは物価上昇と景気後退の「どちらのインパクトが大きいか次第」と関根氏は指摘しています。
今回の米関税ショックの帰結が「本当に世界的な景気後退だとすると、むしろ為替は円が強くなり、ドルが安くなる」との認識も示されています。

マールアラーゴ合意による投資戦略への影響

マールアラーゴ合意による投資戦略への影響
マールアラーゴ合意が金融市場へ与える影響は非常に大きくなっています。
そのため、投資家は合意による影響を踏まえたうえで投資戦略を練り直す必要があります。
ここからは、マールアラーゴ合意が投資家の投資戦略へ与える影響について具体的に見ていきましょう。

マールアラーゴ合意による投資戦略① 為替リスクへの対処法

マールアラーゴ合意による投資戦略① 為替リスクへの対処法
マールアラーゴ合意に関連する為替変動リスクに対して、投資家はどのように対処すべきでしょうか。
まず、為替相場の変動に備えたポートフォリオの分散が重要です。
特に外貨建て資産への投資を行っている場合は、過度な一方向への集中を避け、複数の通貨への分散投資を検討することが有効でしょう。
また、為替ヘッジの活用も一つの選択肢です。
特に短期的な為替変動リスクを抑えたい場合は、為替ヘッジ付きの金融商品を選択することで、為替変動の影響を緩和できます。

マールアラーゴ合意による投資戦略② 長期的な資産運用の視点

マールアラーゴ合意による投資戦略② 長期的な資産運用の視点
市場の一時的な動きに振り回されることなく、有望な市場への積み立てを行っている人は淡々と積み立てを継続することで、一時的な痛みも報われるような結果が待っている可能性があります。
長期的な資産形成を目指す投資家にとっては、短期的な市場の動きに一喜一憂するよりも、基本的な投資戦略を堅持することが重要です。
市場のボラティリティが高まる時期こそ、冷静な判断と長期的視点が求められます。

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント
ここまでマールアラーゴ合意について詳しく解説してきました。
それでは、今後マールアラーゴ合意によって、各国の関係や国際金融市場はどのように変化していくのでしょうか。
ここからは、マールアラーゴ合意による今後の展望と注目のポイントについて見ていきましょう。

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント① 米国と各国の交渉動向

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント① 米国と各国の交渉動向
トランプ大統領は中国に対して更なる関税引き上げの可能性に言及していますが、ベッセント米財務長官は、多くの国や地域に対する相互関税率は「上限」であると述べており、今後の交渉次第で引き下げ余地があることを示唆しています。
今後、米国と各国との二国間交渉の進展状況は、マールアラーゴ合意の実現可能性や具体的な内容に大きな影響を与えるでしょう。
特に主要貿易相手国である中国や日本、EUとの交渉動向には注目が必要です。

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント② 国際金融市場の反応

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント② 国際金融市場の反応
ビアンコ氏によれば、マールアラーゴ合意が近い将来に起きるとは考えていないものの、トランプ大統領は今後4年で国際金融秩序全体を一変させる可能性が十分あるとはっきり述べており、市場関係者はそれに備える必要があるとしています。
国際金融市場の参加者は、マールアラーゴ合意に関する情報や噂に敏感に反応する可能性があります。
特に為替市場やグローバル株式市場、債券市場などの動向は、合意の実現性や内容に関する市場の見方を反映するものとして注目されるでしょう。

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント③ 日本の政策対応

マールアラーゴ合意による今後の展望と注目ポイント③ 日本の政策対応
トランプ関税の影響を見極めるには時間がかかり、日銀が政策変更を当面見送るのはやむを得ないとの見方がありますが、いつまでも時間をかけるわけにもいかず、「やはり金利を引き上げ、期待インフレ率が上がるのを食い止めることを考えなければならないだろう」との予測も示されています。
日本の金融政策や為替政策がマールアラーゴ合意にどう対応するかも、今後のドル円相場や日本経済に大きな影響を与える要素となるでしょう。
特に日銀の金融政策決定会合での議論や決定は、市場参加者にとって重要な注目ポイントとなります。

マールアラーゴ合意と投資家の心構え

マールアラーゴ合意と投資家の心構え
マールアラーゴ合意は、現在はまだ構想段階の概念ですが、トランプ政権の経済政策の一環として実現する可能性があります。
この合意は、1985年のプラザ合意のように国際通貨秩序に大きな変化をもたらす可能性を秘めており、特にドル円相場への影響が注目されています。
投資家としては、マールアラーゴ合意に関する最新の動向に注意を払いつつも、短期的な市場の変動に一喜一憂することなく、長期的な資産形成の視点を持ち続けることが重要です。
分散投資や為替リスクのヘッジなど、基本的なリスク管理手法を活用しながら、自身の投資目標に合った戦略を粘り強く実行していくことが、不確実性の高い時代における賢明な投資姿勢といえるでしょう。