


このような疑問を持ったことはありませんか?
ワイコフ理論とは、価格と出来高から大口参加者の売買を推測し、相場の流れを分析する手法です。
もともと株式相場で使われてきた理論ですが、FXにも活用できます。
ただし、FXでは市場全体の正確な出来高を確認できないため、トレンドやレンジ突破後の動きもあわせて判断する必要があります。
この記事では、以下の内容について詳しく解説します。
この記事でわかること
- ワイコフ理論の3つの法則と4つの相場サイクル
- ワイコフ理論をFXで使う手順
- FXで使う際の注意点
さらに、米ドル円の4時間足を使い、ワイコフ理論によるチャートの見方を図解します。
ワイコフ理論をFXに活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
ワイコフ理論とは

ワイコフ理論とは、米国の投資家リチャード・D・ワイコフが考案した、価格と出来高から相場の需要と供給を分析する手法です。
大口参加者による買い集めや売り捌きは、主に株式市場において、値動きと出来高に表れるという考え方を基礎にしています。
3つの法則と4つの相場サイクルを使い、現在の相場がどの段階にあるのかを分析します。
コンポジットマンとは
コンポジットマンとは、機関投資家など複数の大口参加者を、あたかも一人の市場参加者であるかのように捉える考え方です。
ワイコフ理論では、コンポジットマンが買い集めや売り捌きを計画的に進めると仮定し、価格と出来高に残る動きから大口参加者の売買行動を分析します。
ただし、コンポジットマンという人物が実在するわけではなく、一人の大口参加者が市場全体を動かしているという意味でもありません。
大口参加者の動きを理解しやすくするための分析上のモデルです。

ワイコフ理論を構成する3つの法則
ワイコフ理論は、需要と供給、原因と結果、努力と結果という3つの法則で構成されています。
- 需要と供給の法則
- 原因と結果の法則
- 努力と結果の法則
3つの法則を使うことで、相場の方向、レンジ後の値動き、価格と出来高の釣り合いを分析できるので、順番に確認していきましょう。
需要と供給の法則

需要と供給の法則とは、需要が供給を上回ると価格が上がり、供給が需要を上回ると価格が下がるという考え方です。
需要と供給が拮抗すると、価格が一定の範囲を行き来するレンジ相場になりやすくなります。
ワイコフ理論では、価格の上昇・下落幅と出来高を比較し、需要と供給のどちらが優勢なのかを分析します。
原因と結果の法則

原因と結果の法則とは、レンジ相場で進む買い集めや売り捌きを「原因」、その後に発生する上昇や下落を「結果」として捉える法則です。
買い集めが進んだレンジでは上昇、売り捌きが進んだレンジでは下落が結果として現れると考えます。
また、レンジ内で進んだ買い集めや売り捌きの規模をもとに、レンジを抜けた後の上昇幅や下落幅の目安を考えます。
ただし、レンジの規模だけで将来の値幅を正確に予測できるわけではありません。
レンジを抜けた方向や、その後の値動きも確認する必要があります。
努力と結果の法則

努力と結果の法則とは、「努力」を出来高、「結果」を価格の変化として捉え、両者が釣り合っているかを分析する法則です。
出来高の増加に伴って値幅も広がっていれば、努力と結果は一致しています。
一方、出来高が増えても価格がほとんど動かなければ、買いと売りがぶつかり一方向へ進みにくくなっている状態です。
出来高と価格の不一致は、トレンドの変化を警戒する材料になります。
ただし、相場の反転を確定するものではないため、その後の値動きも確認する必要があります。
ワイコフ理論の4つの相場サイクル

ワイコフ理論では、相場を「買い溜め」「値上げ」「売り捌き」「値下げ」という4つの段階に分けて分析します。
- 買い溜め相場(Accumulation)
- 値上げ相場(Mark Up)
- 売り捌き相場(Distribution)
- 値下げ相場(Mark Down)
4つの相場サイクルの特徴を紹介していきます。
買い溜め相場(Accumulation)

買い溜め相場とは、値下げ相場のあとに、大口参加者(コンポジットマン)による買い集めが進んでいると捉える段階です。
市場には売り圧力が残っているため、価格は一定の範囲を行き来するレンジ相場を形成しやすくなります。
売り圧力が弱まり、価格がレンジ上限を抜けると、値上げ相場へ移行することがあります。ただし、安値圏のレンジがすべて買い溜め相場になるわけではありません。
値上げ相場(Mark Up)

値上げ相場とは、需要が供給を上回り、価格が上昇していく段階です。
買い溜め相場のレンジを上抜けたあとに始まり、高値と安値を切り上げながら上昇する傾向があります。
上昇途中にレンジが形成され、再び買い集めが進む動きは「再蓄積(Re-accumulation)」と呼ばれます。
そして需要が弱まり、売りが増えると売り捌き相場へ移行します。
売り捌き相場(Distribution)

売り捌き相場とは、値上げ相場のあとに、大口参加者が買いポジションを売っていると捉える段階です。
高値圏でも買いが続く一方で売りが増えるため、価格はレンジ相場を形成しやすくなります。
高値を更新できない動きが増え、価格がレンジ下限を割ると、値下げ相場へ移行することがあります。
ただし、高値圏のレンジだけで売り捌き相場と断定することはできないので気を付けましょう。
値下げ相場(Mark Down)

売り捌き相場のレンジを下抜けたあとに始まり、高値と安値を切り下げながら下落する傾向があります。
下落途中にレンジが形成され、再び売りが増える動きは「再分配(Redistribution)」と呼ばれます。
売り圧力が弱まり、買いが入り始めると、次の買い溜め相場へ移行します。
ワイコフ理論で確認する6つのシグナル

ワイコフ理論では、レンジからトレンドへ移る過程を複数のシグナルで判断します。
買い溜め相場では、主にSpring・SOS・LPSを確認します。
・Spring(スプリング):レンジ下限を一時的に割ったあと、レンジ内へ戻る動き
・SOS(Sign of Strength):レンジ上限へ向かう、または上限を突破する強い上昇
・LPS(Last Point of Support):SOS後の押し目で、価格が支持される場所
一方、売り捌き相場では、主にUTAD・SOW・LPSYを確認します。
・UTAD(Upthrust After Distribution):レンジ上限を一時的に超えたあと、レンジ内へ戻る動き
・SOW(Sign of Weakness):レンジ下限へ向かう、または下限を割る強い下落
・LPSY(Last Point of Supply):SOW後の戻りで、価格が抵抗を受ける場所
SpringからSOS、LPSへ進む動きは上昇、UTADからSOW、LPSYへ進む動きは下落を判断する材料になります。
FXでワイコフ理論を使う手順
FXでワイコフ理論を使うときは、レンジの一部分だけを見て判断せず、直前のトレンドからレンジ突破後の値動きまで順番に確認します。
ここでは、ワイコフ理論を使ってエントリーを判断する手順を解説します。
1.直前のトレンドを確認する

下落トレンド後のレンジは買い溜め相場、上昇トレンド後のレンジは売り捌き相場の候補です。
4時間足のレンジを分析する場合は、日足も確認すると大きな流れを把握しやすくなります。
ただし、レンジを抜けた方向へ直前のトレンドが継続することもあるため、この段階では候補を絞るだけにします。
2.レンジの上限と下限を引く

価格が繰り返し反発している高値と安値を確認し、レンジの上限と下限に水平線を引きます。
1本のローソク足だけで判断せず、複数回止められている価格帯を目安にしましょう。
上限と下限がはっきりしない場合は、ワイコフ理論による判断を見送ります。
3.SpringまたはUTADを確認する

レンジ下限を一時的に割って戻るSpring、またはレンジ上限を一時的に超えて戻るUTADが現れているかを確認します。
ただし、レンジ内へ戻っただけでは、買い溜め相場や売り捌き相場と判断できません。
また、SpringとUTADは必ず発生するわけではないため、現れない場合はSOS・SOWによるレンジ突破を確認します。
4.SOS・SOWで方向を確認する

Spring後にレンジ上限を突破するSOS、またはUTAD後にレンジ下限を割るSOWが現れるかを確認します。
FXでは市場全体の正確な出来高を確認できないため、ローソク足の大きさや終値、値動きの勢い、ティック出来高を組み合わせて判断しましょう。
5.LPS・LPSYを待ってエントリーする

SOS後は、以前のレンジ上限付近まで価格が戻り、LPSで反発したことを確認して買いエントリーします。
SOW後は、以前のレンジ下限付近まで価格が戻り、LPSYで上値を抑えられたことを確認して売りエントリーします。
買いの損切りはLPSまたはSpringの安値を割る位置、売りの損切りはLPSYまたはUTADの高値を超える位置が目安です。
許容損失額と損切りまでの値幅から取引数量を計算し、エントリー前に調整しましょう。
価格がLPS・LPSYまで戻らない場合は、無理に追いかけないことも大切です。
米ドル円の4時間足でワイコフ理論を確認
実際に米ドル円の4時間足チャートを用いて、ワイコフ理論の4つの相場サイクルが実際の値動きのどこに対応するのかを解説します。

下落後にレンジを形成している部分を買い溜め相場、レンジ上限を抜けて上昇している部分を値上げ相場として捉えます。
その後、高値圏でレンジを形成した部分が売り捌き相場、レンジ下限を割って下落した部分が値下げ相場です。
ワイコフ理論では、レンジの位置だけで判断せず、直前のトレンドとレンジを抜けた方向もあわせて確認します。
次の画像では、買い溜め相場の上限を突破したあと、価格が一度押し戻されています。

レンジ上限を突破する上昇がSOS、その後の押し戻しがLPSに当たります。
LPSから再び上昇したことを確認できれば、買いエントリーを判断する材料になります。
このチャートでは明確なSpringを確認できませんが、Springは必ず発生するシグナルではありません。
Springが現れない場合でも、SOSによるレンジ上抜けとLPSからの反発を組み合わせて判断できます。
買いエントリー後の損切りは、LPSの安値を割る位置が目安です。
FXでワイコフ理論を使う際の注意点

ワイコフ理論をFXで使う際は、株式市場との違いや為替相場特有の値動きに注意が必要です。
- FXでは市場全体の正確な出来高を確認できない
- すべてのレンジを買い溜め・売り捌きと判断しない
- 経済指標や要人発言によって形が崩れることがある
ここでは、3つの注意点を解説します。
FXでは市場全体の正確な出来高を確認できない
FXでは、株式市場のように市場全体の正確な出来高を確認できません。
FX通貨ペアのMT4・MT5で一般に表示されるVolumeは、価格が更新された回数を示すティック出来高であり、FX市場全体の売買高ではありません。
ローソク足の値幅や終値、レンジ突破後の動きもあわせて判断しましょう。
▶MT4・MT5で出来高(ティックボリューム)を確認する方法はこちら!
すべてのレンジを買い溜め・売り捌きと判断しない
下落後のレンジが必ず買い溜め、上昇後のレンジが必ず売り捌きになるわけではありません。
レンジを抜けたあと、直前のトレンドが継続することもあります。
レンジの位置だけで判断せず、Spring・UTADやSOS・SOWなどの値動きも確認しましょう。
経済指標や要人発言によって形が崩れることがある
重要な経済指標や要人発言があると、価格が急変して想定していた形が崩れることがあります。
発表前後はスプレッドが広がり、価格がレンジの上限や下限を大きく抜ける場合もあります。
取引前に経済指標の予定を確認し、損切りを設定しておきましょう。
まとめ:ワイコフ理論では価格・出来高・相場サイクルを分析する
ワイコフ理論とは、価格と出来高から大口参加者の売買を推測し、相場の流れを分析する手法です。
3つの法則と4つの相場サイクルを使い、Spring・SOS・LPSなどのシグナルからトレンドへの移行を判断します。
FXでは市場全体の正確な出来高を確認できないため、ローソク足やティック出来高、レンジ突破後の動きも確認しましょう。
ワイコフ理論どおりに相場が動くとは限らないので、損切り位置を決めてからエントリーすることも大切です。
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BigBossコラム編集部
