


といった疑問はありませんか?
ナンピンとは、エントリーと逆方向に価格が動いたときに、ポジションを追加して平均購入単価を下げる手法です。
含み損の解消を狙える反面、価格が反転しなければ大きな損失を受ける可能性があるので、使用するタイミングを見極めることが大切です。
この記事では、以下の内容について詳しく解説します。
この記事でわかること
- FXのナンピンの意味
- ナンピンの具体的な手法
- ナンピンのメリット・デメリット
ナンピンの手順やポイントを押さえておけば、トレード戦略の幅が広がり、利益を狙いやすくなるでしょう。
FXでナンピンを活用してみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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Contents
FXのナンピンとは

FXのナンピン(難平)とは、価格レートがエントリーと逆方向に動いたときに、ポジションを追加して平均購入単価を下げる手法です。
ナンピンは漢字で書くと「難平」で、難(損)を平均化することを意味するといわれています。
ナンピンの平均取得価格は、以下の計算式で算出できます。
平均取得価格=ポジションを保有した価格の合計÷合計ロット数
ナンピン後に相場が反転すれば、含み損を解消することができます。
ただし、相場が反転しなかったときは含み損がさらに増えるため、難易度の高い手法としても知られています。
ナンピンの種類
ナンピンには「ナンピン買い」と「ナンピン売り」があります。
それぞれの違いを見ていきましょう。
ナンピン買い
ナンピン買いとは、価格レートの下落によって保有している買いポジションに含み損が発生したときに平均購入価格を下げるために買い増しをすることをいいます。
下図のように米ドル/円が130円のときに買いポジションを保有し、その後129円、128円、127円と下落するたびに買いポジションを追加で保有していきます。

それぞれの価格で1ロット取引した場合の平均取得価格は128.5円です。
(130円+129円+128円+127円)÷4ロット=128.5円
ナンピン買いで平均購入価格が下がると、相場が上昇した際に含み損を解消できたり、利益を狙いやすくなったりします。
ナンピン売り
ナンピン売りとは、価格上昇によって保有している売りポジションで含み損が発生したときに、売り増しをする手法です。
下図のように米ドル/円が127円のときに売りポジションを保有し、その後128円、129円、130円と上昇するたびに売りポジションを追加保有していきます。

それぞれの価格で1ロット取引した場合の平均取得価格は128.5円です。
(130円+129円+128円+127円)÷4ロット=128.5円
ナンピン売りで平均購入価格が上がると、相場が下落した際に含み損を早めに解消できたり、利益を狙いやすくなったりします。
ナンピンをする3つのメリット
ナンピンには、以下のようなメリットがあります。
- 少しの反転で含み損の解消が期待できる
- 含み損から利益を狙える可能性がある
- エントリー機会が増える
それぞれ詳しく紹介します。
少しの反転で含み損を解消できる
ナンピンで平均購入価格を下げることができれば、含み損を解消できる可能性があります。
1ドル130円で1ロット(10万通貨)の買いポジションを保有したあとに、ナンピンしなかったときと、ナンピンしたときの含み損を比較します。
米ドル/円が一旦128円まで下落し、129円まで再び戻ってきたときの含み損の変化を見ていきましょう。
下の左図はナンピンをしなかった場合、右図はナンピンをした場合です。

1ドル130円で買いポジションを1ロット保有後、128円までナンピンしなかった場合の含み損は20万円です。
その後、価格が反転し、129円まで戻ると含み損は10万円まで減少します。
一方、1ドル130円のときに買いポジションを1ロット保有したあと、1円下落するたびに、1ロットずつ買いエントリーすると128円時点で30万円の含み損が発生します。
{(128円−130円)+(128円−129円)+(128円−128円)}×10万通貨=−30万円
その後、価格が反転し、129円まで戻ると含み損は0円になります。
{(129円−130円)+(129円−129円)+(129円−128円)}×10万通貨=0円
ナンピンしなかった場合は価格が130円まで戻らなければ、含み損が解消されませんが、ナンピンしたときは価格が129円まで戻れば含み損を解消できます。
含み損から利益を狙える可能性がある
ナンピンは、相場が反転したときに大きな利益を狙える可能性があります。
1ドル130円のときに米ドル/円の買いポジションを1ロット(10万通貨)保有後、米ドル/円が127円になるまで1円下落するたびに追加で買いポジションを1ロットずつ保有した場合の含み損益の変化を見ていきましょう。
|
為替レート |
合計ロット数 |
平均購入単位 |
含み損益 |
|
130円 |
1ロット |
130円 |
0円 |
|
129円 |
2ロット |
129.5円 |
−10万円 |
|
128円 |
3ロット |
129円 |
−30万円 |
|
127円 |
4ロット |
128.5円 |
−60万円 |
|
128円 |
4ロット |
128.5円 |
−20万円 |
|
129円 |
4ロット |
128.5円 |
20万円 |
|
130円 |
4ロット |
128.5円 |
60万円 |
米ドル/円が下落し続けている限り、含み損は拡大しますが、価格が反転すると含み損が少しずつ減り、129円まで戻ってきたタイミングで含み益が発生します。
一方、ナンピンをしなかった場合は、127円まで下落したときに30万円の含み損を抱えます。
そのままポジションを保有し続け、米ドル/円が購入価格の130円に戻ってくれば、含み損は解消できますが、利益を得ることはできません。
このようにナンピンをすると、最初にエントリーした130円まで価格が戻らなくても、含み益が発生します。
ナンピンする4つのデメリット
ナンピンには、以下のようなデメリットがあります。
- 含み損が拡大する可能性がある
- 適切なエントリータイミングを見極めるのが難しい
- 精神的な負担が大きい
- マイナススワップが発生する可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
1.含み損が拡大する可能性がある
ナンピンをしたとしても、価格が反転しない限り含み損の解消が見込めず、そのまま逆方向に価格が動けば含み損が拡大していきます。
1ドル130円で1ロット(10万通貨)の買いポジションを保有したあとに、ナンピンしなかった場合とナンピンした場合の含み損を比較していきましょう。
下の左図はナンピンをしなかった場合、右図はナンピンをした場合です。

ナンピンしなかった場合は、128円まで下落すると20万円の含み損、126円まで下落すると40万円の含み損が発生します。
一方、1ドル130円のときに1ロットの買いポジションを保有し、その後128円になったときに1ロットの買い増しをした場合は、126円まで下落すると含み損が60万円まで拡大してしまいます。
このようにナンピン後に価格の反転が起こらなければ、含み損が拡大するので注意が必要です。
2.ロスカットリスクが高まりやすい
ロスカットとは、保有ポジションの含み損が拡大し、証拠金維持率が一定水準を超えると強制的に決済される仕組みのことです。
証拠金維持率は、以下の計算式で求められます。
証拠金維持率=有効証拠金(口座資金に含み損益を反映させた金額)÷必要証拠金×100%
ナンピンは、含み損のある方向に追加でエントリーする手法なので、価格の反転が起こらなければ含み損が拡大してしまいます。
ナンピンによるポジションの総量が増えれば、求められる必要証拠金も増加していきます。
その結果、証拠金維持率の低下スピードが速まり、ロスカットが執行されやすくなるので注が必要です。
ナンピンをする際はロスカットまでの値幅を考慮し、損切りラインを再設定するなどの対策をしましょう。
3.精神的な負担が大きい
ナンピンをすると保有ポジションが多くなるので、含み損が拡大するスピードが速まります。
含み損が拡大すれば、大きな損失を受けることへの不安が大きくなり、精神的なストレスを感じてしまうケースも考えられます。
このような精神的な負担を抱えたくない方は、ナンピンするのを避けるようにしましょう。
4.マイナススワップの負担が大きくなる可能性がある
FXで高金利通貨を売って低金利通貨を買うと、ポジションを持ち越すたびにマイナススワップが発生します。
ナンピンで保有ポジションが増えれば、その分マイナススワップの金額も大きくなります。
ナンピンをすると、価格が戻るまで損切りを先延ばしにすることで、ポジションの保有期間が想定より長くなるケースも考えられるでしょう。
マイナススワップが発生する通貨ペアを長期間保有すれば、損失を重ねる原因になります。
マイナススワップでの損失を抑えるためにも、通貨ペアの金利を確認したうえでナンピンをしましょう。
FXトレードでナンピンを検討しても良いタイミング
無闇にナンピンをして価格が反転しなければ大きな損失を受けてしまいます。
そのため、ナンピンを検討するのは中長期目線で投資を行っていたり、価格が反転する根拠があったりするときに絞ることが大切です。
加えて、適切な損切ができることが前提条件となり、適切な損切りができてはじめてナンピンを有効に活用できます。
ここからは、FXトレードでナンピンを検討しても良いタイミングを紹介します。
中長期目線で投資を行っている
中長期目線で利益を狙っている場合のナンピンは、効果的なトレード戦略といえます。
中長期で利益を狙うトレード手法では、利益確定や損切りまでの値幅を大きく設定するため、価格が戻ってくるまで待つ余裕が生まれやすくなります。
ナンピンをするかどうかは、許容できる含み損やポジションの保有期間を踏まえたうえで検討しましょう。
価格が反転する根拠がある
ナンピン後に価格が反転しない状況が続くと、さらに損失が大きくなってしまう可能性があります。
そのような状況にならないためには、価格レートが反転する根拠をもったうえでナンピンすることが大切です。
テクニカル指標で以下のような価格反転のサインが出ていれば、ナンピンが成功しやすいタイミングといえます。
- RSIが30%以下もしくは70%以上を示している
- MACDの値動きが相場と逆方向に動いている(ダイバージェンス)
- 価格が移動平均線から大きく乖離している
価格反転のサインが複数見られるタイミングでナンピンをすれば、含み損を減らせるだけでなく、利益を狙える可能性が高まります。
直感に頼るトレードではなく、テクニカル指標などを用いた分析ができることがナンピンを使える条件といえるでしょう。
▶RSIの使い方や手法はこちらで詳しく解説!
▶ダイバージェンスの見つけ方や活用方法はこちらで詳しく解説!
FXトレードでナンピンする流れ
FXトレードでのナンピンの基本的な流れは、以下の通りです。
- ナンピンをしても良い相場か分析する
- ナンピンをする
- 平均購入価格以上で利確する
順番に詳しく解説します。
STEP.1 ナンピンをしても良い相場か分析する
ナンピンは含み損が発生した際に有効な手法です。
そのため、下図のように予想に反して相場が逆行した際はナンピンを検討するタイミングといえます。

ただし、無闇にナンピンをすると含み損が拡大する恐れがあります。
テクニカル指標などで価格反転のサインが出ていることを確認し、ナンピンが成功しやすい相場のときに取り入れましょう。
STEP.2 ナンピンをする
ナンピン買いでは、相場が下落し保有ポジションが含み損を抱えたときに買い増しします。
下図では、150.040円のときに1ロットの買いポジションを保有し、149.500円と149.140円のときに買い増しをしています。

ナンピンの適切な値幅は、トレードスタイルやトレード資金、相場のボラティリティ(変動幅)によって異なります。
例えば、相場のボラティリティが大きいときは広め、小さいときは狭めに調整するのがおすすめです。
「どこの価格で反転しそうか」「どこまで逆行しても耐えられるか」などを踏まえたうえで、ポジションを追加する値幅を検討しましょう。
STEP.3 平均購入価格以上で利確する
ナンピン買いをして平均購入価格以上で利確すれば、含み損の解消だけでなく、利益を狙うこともできます。
150.040円で1ロットの買いポジションを購入し、149.500円と149.140円に下がったときに1ロットずつ買い増ししたときの平均購入価格は149.56円になります。
(150.040円+149.500円+149.140円)÷3ロット=149.56円

このケースの損益分岐点は149.56円となります。
為替レートが149.56円に戻ったときは、含み損が0円になります。
さらに149.57円まで上昇すれば、3,000円の含み益が発生します。
(149.57円-149.56円)×3ロット(30万通貨)=3,000円
FXトレードでナンピンをする際のポイント
FXトレードでナンピンをする際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- ロットを大きくし過ぎない
- ナンピンする間隔を広げる
- 決済するタイミングを決めておく
- 証拠金維持率を確認する
それぞれ詳しく紹介します。
1.ロットを大きくし過ぎない
FXでは、最初にエントリーした方向に価格が動かなかった場合に前回のエントリー時の2倍のロット数で注文する「マーチンゲール法」と、ナンピンを組み合わせる手法があります。
マーチンゲール法とナンピンを組み合わせると、大きな利益を狙える反面、ロスカットリスクが高まります。
ナンピン後のロスカットリスクを抑えるには、ロットを大きくし過ぎないことが大切です。
1ドル130円で米ドル/円の買いポジションを0.01ロット(1,000通貨)保有したときと、0.1ロット(1万通貨)保有したときの含み損は以下のように異なります。
|
価格 |
0.01ロット保有した場合の含み損 |
0.1ロット保有した場合の含み損 |
|
129円 |
1,000円 |
1万円 |
|
128円 |
2,000円 |
2万円 |
|
127円 |
3,000円 |
3万円 |
ナンピンによって大きな損失を受けないためにも、資金量や損失許容額を踏まえたうえで適切なロット数に設定するようにしましょう。
▶適切なロットの決め方はこちらで解説!
▶マーチンゲール法のメリット・デメリットはこちらで詳しく解説!
2.ナンピンする間隔を広げる
ナンピンする間隔を広げると、ロスカットによって大きな損失を受けるリスクを抑えられます。
1ドル130円のときに米ドル/円の買いポジションを1ロット保有したあと、1円下落するごとにナンピンした場合と、0.5円ごとにナンピンした場合の含み損を比較してみましょう。
|
価格 |
1円ごとにナンピンした場合の含み損 |
0.5円ごとナンピンした場合の含み損 |
|
130円 |
0円 |
0円 |
|
129.5円 |
5万円 |
5万円 |
|
129円 |
10万円 |
15万円 |
|
128.5円 |
20万円 |
30万円 |
|
128円 |
30万円 |
50万円 |
このようにナンピンの間隔が狭いほど、含み損が拡大するスピードが速まります。
大きな損失を受けるリスクを抑えるためにも、ナンピンの間隔を開けるようにしましょう。
3.決済するタイミングを決めておく
ナンピンによって含み損が解消されたり、含み益が発生したりした場合に、欲が出て決済を先延ばしにしてしまうケースも考えられます。
ナンピンしたポジションを保有したままにしていると、再び価格が逆行したときに大きな損失を受けてしまいます。
そのような事態を避けるためには、利益確定や損切りするタイミングを決めておくことが大切です。
利益確定や損切りするタイミングは、どの価格帯まで値動きする可能性があるのかテクニカル分析などで予測したうえで決めましょう。
▶適切な利確のタイミングはこちらで詳しく解説!
▶損切りラインの決め方はこちらで詳しく解説!
4.証拠金維持率を確認する
ナンピンは、保有ポジションを増やしていく手法なので、その分多くの証拠金が必要となります。
加えて、短時間で大きな含み損を抱える可能性があるため、証拠金維持率が低下しやすく、ロスカットリスクが高い傾向があります。
そのため、ナンピンをする際は、証拠金維持率を確認しながら取引することが大切です。
証拠金維持率が下がったときは、損切りしたり証拠金を追加入金したりするようにしましょう。
FXのナンピンに関するよくある質問
最後にFXのナンピンに関するよくある質問に回答していきます。
ナンピンは必勝法ではないの?
ナンピンは含み損の解消が期待できますが、必勝法ではありません。
ナンピンに限らず、FXトレードに必勝法は存在しないため、損切りラインを設定するといったリスク管理をしながら取引することが大切です。
ナンピンをするのを避けたほうがいい?
ナンピンは難易度の高い手法とされているため、FX初心者にはあまり向きません。
相場が反転しなければ含み損が拡大し、大きな損失を受けてしまうリスクがあります。
精神的な負担が大きく、決済タイミングも難しいため、FX取引の経験が少ない方はナンピンするのを避けるのが良いでしょう。
ナンピンをうまく活用できるのはどんな人?
ナンピンは、以下のようなトレーダーであれば、うまく活用できる可能性があります。
- 資金やリスク管理を徹底できる人
- 手法やトレードルールを定めている人
- 資金に余裕がある人
ナンピン後に価格レートが平均取得価格まで戻るとは限らないため、適切な資金管理や損切りができる人でなければ、大きな損失を受ける恐れがあります。
ナンピンを失敗するリスクを抑えるには、トレード手法やルールを定めたうえで、ルールに沿ったトレードをすることが重要です。
また、資金に余裕がある人でなければ、ナンピンで複数のポジションを保有することは難しいです。
ナンピンは、資金を準備できる人向けの手法であることも覚えておきましょう。
まとめ:FXでのナンピンは適正ロットで根拠をもって利用しよう
含み損を抱えている状態でナンピンをすれば、含み損を早期に解消できたり利益を狙えたりする可能性があります。
ただし、そのまま価格が逆行すると、ロスカットが執行されて大きな損失を受けるリスクがあるので注意が必要です。
ナンピンの精度を高めるには、インジケーターを活用した相場分析が欠かせません。
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BigBossコラム編集部